だけど人間は甘い
1月のことだったか、CSの時代劇専門チャンネルで「NHK大河ドラマアーカイブス」というプログラムがあり、そこで「竜馬がゆく」を見たのでした。
1968年放送。
めっぽうおもしろくて度肝を抜かれました。惜しいことに、天下のNHKにも、VTRはたったの一本しか現存していないらしい。その貴重な一本、第16回「脱藩」の回を放送していたわけです。
今ごろになって司馬遼太郎原作の「竜馬がゆく」を読み出したりしております。
脚本家の水木洋子さんのことも調べて「へえええ~」となったりしておりました。
私は本を読むのが非常に遅いので、原作の方では竜馬は今やっと脱藩しようかどうしようかとしているところです。
ドラマ第16回では、脱藩する竜馬を取り巻く周囲の人たちの緊張が主に描かれています。
嫁に行っている乙女姉さんに相談に行く竜馬。
男やったら自分の信じた道を行け、と励ます姉さん。
けれど姉の婚家に迷惑が及ぶことだけは竜馬も気に病む。(実家に累が及ぶことについては「こらえてもらうしかない」と言い放っているが)
乙女姉さんは、「かまわぬ」という。夫へ離縁を願い出ることを決心しているのだ。
「それはいかん」と竜馬がいうと、「あんなばぶれもんの亭主にはほとほと愛想が尽きている(だからからかまわん)」と姉さんは言う。
大笑いしたあとでその笑いがいつしか泣き顔になる。
このドラマ、文句のつけようがないデキでどのシーンも気が抜けないおもしろさなんだけど、ここだけちょっと気に入らなかったのだ。
ここで、乙女姉さんは泣かないほうがいいのになぁってタバスコは思ったのだ。
で、原作ではもう少しカラッと描かれている。
ばぶれもん(好色で女に手を出す男を土佐ではこういうらしい)のご亭主とケンカして投げ飛ばしたりしている乙女ねえやん。竜馬もそういう二人を笑ってみていたりする。
妾を持つのは男の甲斐性などという価値の時代背景もあるでしょう。そういう時代の中にあって乙女という女は性的なだらしなさにやや潔癖なところがあるという描かれ方ではありますが、弟に亭主の行状を話した後で泣くのは乙女ねえさんらしくないなぁって思ったのね。
で、脚本の水木洋子という人。
この人は映画監督谷口千吉の最初の妻です。
谷口千吉という名前は、私などは八千草薫の夫という記憶の残し方しかできないんだけれど、まずまず有名な映画監督さんだったんでしょう。
水木洋子と八千草薫の間にもう一人女優さんと結婚されてます。
水木洋子という女性は、そういう経験をしているのかと考えると、この乙女がこういう描かれ方をするのも、ああ、なるほどなぁとやや納得してしまったりしたわけです。
演じる水谷良重には原作の乙女よりちょっと陰があるんですよね。
それでも弟が乱世に打って出ていこうとその決心を自分に伝えにきたときの、乙女の「ああ、こんな世の中でおなごであることがくやしい」と
もどかしげに身を震わしながらも、維新の風が今巻き起ころうとする時代の激動に目を輝かせて昂奮する様は素晴らしい熱演でございます。
これもまた、戦時中左翼思想活動もしたという水木洋子の筆を通した乙女像ということなのかもしれません。
あれこれより道わき道に入りながら読むのでほんまになかなか先へ進まないんだけど、タバスコは今竜馬とともに維新の風の中に生きているのでございます・・・
1968年放送。
めっぽうおもしろくて度肝を抜かれました。惜しいことに、天下のNHKにも、VTRはたったの一本しか現存していないらしい。その貴重な一本、第16回「脱藩」の回を放送していたわけです。
今ごろになって司馬遼太郎原作の「竜馬がゆく」を読み出したりしております。
脚本家の水木洋子さんのことも調べて「へえええ~」となったりしておりました。
私は本を読むのが非常に遅いので、原作の方では竜馬は今やっと脱藩しようかどうしようかとしているところです。
ドラマ第16回では、脱藩する竜馬を取り巻く周囲の人たちの緊張が主に描かれています。
嫁に行っている乙女姉さんに相談に行く竜馬。
男やったら自分の信じた道を行け、と励ます姉さん。
けれど姉の婚家に迷惑が及ぶことだけは竜馬も気に病む。(実家に累が及ぶことについては「こらえてもらうしかない」と言い放っているが)
乙女姉さんは、「かまわぬ」という。夫へ離縁を願い出ることを決心しているのだ。
「それはいかん」と竜馬がいうと、「あんなばぶれもんの亭主にはほとほと愛想が尽きている(だからからかまわん)」と姉さんは言う。
大笑いしたあとでその笑いがいつしか泣き顔になる。
このドラマ、文句のつけようがないデキでどのシーンも気が抜けないおもしろさなんだけど、ここだけちょっと気に入らなかったのだ。
ここで、乙女姉さんは泣かないほうがいいのになぁってタバスコは思ったのだ。
で、原作ではもう少しカラッと描かれている。
ばぶれもん(好色で女に手を出す男を土佐ではこういうらしい)のご亭主とケンカして投げ飛ばしたりしている乙女ねえやん。竜馬もそういう二人を笑ってみていたりする。
妾を持つのは男の甲斐性などという価値の時代背景もあるでしょう。そういう時代の中にあって乙女という女は性的なだらしなさにやや潔癖なところがあるという描かれ方ではありますが、弟に亭主の行状を話した後で泣くのは乙女ねえさんらしくないなぁって思ったのね。
で、脚本の水木洋子という人。
この人は映画監督谷口千吉の最初の妻です。
谷口千吉という名前は、私などは八千草薫の夫という記憶の残し方しかできないんだけれど、まずまず有名な映画監督さんだったんでしょう。
水木洋子と八千草薫の間にもう一人女優さんと結婚されてます。
水木洋子という女性は、そういう経験をしているのかと考えると、この乙女がこういう描かれ方をするのも、ああ、なるほどなぁとやや納得してしまったりしたわけです。
演じる水谷良重には原作の乙女よりちょっと陰があるんですよね。
それでも弟が乱世に打って出ていこうとその決心を自分に伝えにきたときの、乙女の「ああ、こんな世の中でおなごであることがくやしい」と
もどかしげに身を震わしながらも、維新の風が今巻き起ころうとする時代の激動に目を輝かせて昂奮する様は素晴らしい熱演でございます。
これもまた、戦時中左翼思想活動もしたという水木洋子の筆を通した乙女像ということなのかもしれません。
あれこれより道わき道に入りながら読むのでほんまになかなか先へ進まないんだけど、タバスコは今竜馬とともに維新の風の中に生きているのでございます・・・
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