大学のゼミで一緒だった今西君から夫婦連名宛の封書が届いた。
「突然の便りに驚かれたと思います」
おお、驚いたともさ。
卒業以来30年間年賀状だけの付き合いだったもの。
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54歳になった彼が一念発起、演出を手がけた舞台を打つという、その公演案内チラシとともに、今現在の心情などが綴られた手紙。(その手紙は原稿用紙に、そのます目を無視した、かつて30年前の彼の手紙のスタイルを踏襲したものだった)
その筆跡もなつかしい。
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拙著「電話」に登場する芝居男のモデルが彼。
大学3年~4年にかけて恋愛とも呼べないような淡い、ちょっと薄甘い関係が彼とはあったのはあった。
そんな薄甘い関係の種にふくらし粉を混ぜてひねりだしたのが「芝居男」なんだけど・・・
小説の中ではタバスコがふられることになってるけど、ふったのはタバスコのほう。(ほんまやって)
今西君をふってあほばかダンナと結婚しちゃったってわけだ、ふん。
まあ、そんなことは今となってはどうでも良いことじゃ。
30年も経てば時効どころか時間の風雪に端緒の感情もなにも赤錆だらけとなりにけり。
赤錆びた感情には興味はない。
だけどそれとは別の感情はある。
54歳になった私たちが、まだ何ものか、それはひょっとしたら虹色をしたような何かを自分の人生に描きたいと思い続けている、その同志への、切ないような愛おしさ、と言ったらいいのだろうか。
今週金曜日に初日の幕が開く。
先週娘の引越しで関西へ出かけたばかりのタバスコではあるが、これは行かねばなるまい。
ちょうど、娘の「忘れ物」を届ける必要もあったし(来週でも来来週でもよかったんだけどさ)
関西在住のお暇な方、よろしかったらお出かけになってみませんか。
54歳になった芝居男に興味をもたれませんか。
あの小説の芝居男はほとんど創作に近いんだけどね。でも、タバスコが芝居好き男の今西君から受けた影響は小さからずありましたとも。
チケット入手方法問合せのメールのやり取りを短くかわし、最後にこう書きました。
初日の幕が開くまで、存分に苦しみ、その苦しみも存分に楽しんで、より良き舞台を私たちに見せてくださることを祈りつつ・・・