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夕べの授業でね、小学生の男の子の算数の授業なんですけど、ちょっと目覚しいことがあったんです。


フジムラ君って子。
勉強嫌いなんです。っていうか何に対しても「面倒くさいー」と言うわけ。投げやりなんですね。
もう一人の男の子モリザネ君もそういう傾向はあるんだけど、こっちはまだ最低限やることはやってくれる、それと基礎はとにかく押さえてるんですよ。頭は多分かなり良い。
フジムラ君がどんどん駄目になっていくのを「どうしたもんかなぁ」って私なりに気に病んでた訳なんです。

で、昨日。
分数の通分の問題。

フジムラ君はまったく理解できてない様子。
先週には最小公倍数の出し方をしてて、やんやんゆってなんとか理解したのかな、あやしいなってところで今週通分のやり方を説明するとてんで聞いてくれない。聞いてくれないけど私は説明したのね。で「ほれ、今説明したとおりにやってみんかいさ!」って練習問題をやらせるとてんでできない。「めんどーくせーめんどーくせー」って連呼する。
で、2発ほど頭をぶちました。「こりゃ!ちゃんと聞かんかい!」って言うて。
えらそうにゆっても子どもはぶたれるとちょっと態度があらたまるのね。(ぶったのは初めてだから知らなかった)
で、もう一度説明する。今度はさっきより聞いている。
通分ってそんなに難しいもんじゃないじゃないですか。分母の最小公倍数を出して、そろえてやればいいだけでしょ。で、やって見せて、同じことをフジムラ君に「やってみ」っていうとできる。

「すごいすごい、フジムラ、アホちゃうやん!」ってやや大げさに誉める。何度かやらせる。できる。さっきぶった分今度は頭をなでなでする。「さわるな!」とか言うけどね、無視して撫でる。「フジムラ、意外とかしこいやんけ」とか言うてみる。

フジムラ君の表情が一瞬輝くようで、でも不思議なことにそれは悲しいものと交差したんです。

塾で教えていて、私は概ねあんまりできない子を教えることが多いんだけど、ずーっと共通してその子達から感じ取るもの、それは悲しみなんですよ。
学校の勉強で目覚しい結果を出せない自分をどの子もどの子もみんな悲しんでるってことを私は感じるんですよね。だからこのときのフジムラ君の目の中の悲しい曇りもすごく敏感に感じることができた(んだと思う)。
その私の反応にフジムラ君も呼応してくれたんじゃないかと思うんだけど・・・・

彼が次にしたこと。なんだと思います?

彼は、計算用に私が与えたメモ用紙に、きちゃない字で、「今わかってもあしたになったらわすれる」って書いたんです。

その時私は思わず涙がでそうになりました。
それって、フジムラ君の悲しい悲しい心の叫びなんですよね。

彼は彼なりに苦手な算数を理解しようと努力をした経験もあるんでしょう。でも、その努力がまるでざるで水をすくってるような徒労感しか残さないという経験もしているんでしょう。
何度かの不運な経験が彼にすっかり努力を投げ出させてしまった、のかもしれません。そういう自分をフジムラ君は自分でずっと悲しく思っていたんでしょう。自分は一人より馬鹿なんだと思い込んでいたのか知れません。

最初に書いた訴えの後、ものすごい勢いで同じような意味のことを立て続けに彼は書き続けたんです。
「100パーセントのうち99パーセントは次の日には忘れてる」
「わかってもわかってない」
「わからん、わからん、わからん」

きちゃない字がいっぱい書きなぐられていました。

「なんで次の日に忘れるか、わかる?」って聞いたら、「あほやから」って言うので、「それはちゃうな」とゆってやりました。

それはフジムラの聞き方が悪いねん。さっきみたいな態度で聞いて、ちょっと聞いてわかったつもりになってるからすぐ忘れるんやがな。
わかったと思ってから同じ問題を10回繰り返してやったら忘れへんにゃがな。先生の言うとおりにしてみ。

私はことさらにぞんざいな言い方でフジムラ君に命令口調で言い放って、「とにかくこの問題を文句言わんと全部解いてみ。」

と問題集の中から10問選んで彼にさせてみました。

彼は黙々と解いたんです。全部全部正解。

まだ足りなさそうにするので、後5問。

もっとやる?と聞いたら、前のページに戻って、「ここがわからん」と言うので、それは分数が分母と分子に同じ数でかけても割っても数の大きさに変わりはないという説明のところで、そのことを図を使って説明するとジーっと黙って聞いている。
あんまり深追いしてもあかんかなという計算もあって、「今日はここまで。あとは遊んでええで」と10分前に言い渡すと、晴れ晴れとマンガを書きはじめた。
隣のモリザネの練習問題を見てやると、これは全部正解していた。
残り5分間をご褒美に進呈すると二人はわけのわからない2次元上の戦争ゲームを始めて、没頭している。



さて、来週フジムラの態度は変わっているだろうか。
またふてくされたフジムラに戻っているかもしれないけれど、今までよりはちょっとはせんせーの言うことも聞いてみようという気になってくれたように思うねんけど。

だから夕べは帰り道の車の中で、「おしっ!」なんて雄たけびが何度も何度もタバスコの口から漏れたのでありました。



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女性
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1956/05/26
職業:
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自己紹介:
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