だけど人間は甘い
NHKの「にっぽんの現場」(3月13日放送)
神奈川県立横浜翠嵐(よこはますいらん)高校。定員割れもあった定時制で異変が起きている。元々の定員は35人×2クラスの70人だったが、ここ数年入学希望者が急増し定員を2倍の140人に増やしたのだ。教室には、いまの時代状況を背負った若者たちが通ってくる。「親の収入が歩合制で不安定。私学に行く余裕がない」「父が仕事を辞め学費が出ない。バイト代から2万円ずつ家に入れている」。卒業を前にした数か月、生徒たちは進学か就職かそれぞれの選択を迫られる。自分で貯めた学費で大学進学をめざす生徒。専門学校への夢を抱きつつフリーターになるかも知れないと漏らす生徒。第一希望の会社を不合格となり思い悩む生徒。定時制入学者急増の背景にはどんな現実があるのか。卒業までの教室にカメラを据え、様々な事情を抱えながら懸命に道を切り開こうとする若者たちの生の声と姿を伝える。
***************
「にっぽんの現場」は見逃すことも多いのだけれど、見るといつも深く心が揺すぶられる。
夕べの放送では、定時制高校のあるクラスの風景を追っていた。
定時制高校の入学者が増えているらしい。
新聞のラテ欄の短い情報だけを読んで、ダンナと「なんでやろね」と話していた。
私は、「不登校の子どもたちが行くのかなぁ。」と思った。
さまざまな事情で学校へ行けなるなる子どもたちは多い。その子どもたちは、別の場所での就学を試みる。例えば単位制の高校だったり。
私の友人にも子どもが不登校になった人が複数いるけれど、それぞれにその子どもが行けるであろう学校を探してなんとか高校卒業の資格取得を目指す。
そういう役目の一端を定時制高校がになっているのか、とまず私は思ったわけです。
なぜならフリースクールなどは、費用が結構かかったりする。
経済的事情でそういうところに行けない子どもたちの行き場所に定時制高校がなっているのではないだろうかというのが私の予想でした。
事情は少し違っていた。
公立高校の入試に落ちて、以前ならば滑り止めに私立を受けていたであろう子どもたちの、私立へ行く経済的余裕がない家庭の子どもたちが今定時制高校へ入学するという傾向が強まっているのだという。
格差社会の、ますますその格差が広がりつつあるという現実がそこに現れているのだろう。
定時制高校で学ぶ生徒の多くが、父親の失業や家庭の収入の激減に直面し図らずも定時制高校で学ぶことになったという事情を抱えていた。
昼間はアルバイトをし、学費はもちろん生活費も家に入れているという多くの高校生たちがそこにいた。
考えさせられることがいっぱいあった。
例えば、自分の努力ではどうにもならない環境があり、その中で、彼らなりに抱いている夢があり、その夢の実現に向けて努力をするということについて。
少し前に、山田太一さんが「あきらめることも必要」という発言をされたことについて、2ちゃんねるなどではその発言が物議をかもしたそうだ。
教師を目指している一人の女の子は、親には大学の学費を出せる経済力がないという環境の中で、アルバイトと勉学に努力を尽くす。
無理がたたって椎間板ヘルニアを発症したりもする。でもあきらめない。
アルバイトで貯めたお金は100万円に近づき、大学合格も掴む。
イラストレーターを目指している女の子がいる(この子美人だったなぁ)。
本当は専門学校に行きたい。でも無理とあきらめている。
親にそういう経済力がないことを当たり前のように受け入れ、そしてあきらめている。
目を吊り上げて努力しようという姿勢はなく「バイトしながら絵は描き続けます」と答えていた。
どこに正解があるわけではない。
たくさんのあきらめの中から掬い取るようにしてあきらめない気持ちが掴めるということもあるのではないだろうか。
ただ、親の経済力という、高校生にとってはどうにもならない現実の前で自暴自棄になっていく子どもがいるとしたらそれは哀しい。
経済的な格差が広がって良いことなど誰にとってもないと思うのだけれど。
という日記をmixiに書いていたら、翠嵐高校の生徒会長君のコメントをいただいた。
続いてMちゃんという女の子からも。
Mちゃんはこの放送の中で中心的に語られていたイラストレーター志望の女の子で、日記中に私が「美人!」と書いている子。
「イラストレーターって言うより本当は漫画家志望です」って。
二人とも、番組を見てくれて、暖かい励ましありがとうございます、というコメントをわざわざくれたわけです。
Mちゃんは、私の日記にうれしくって泣きそうになったとまで書いてました。
私なんざ通りすがりのおばちゃんに過ぎないけど、おばちゃんの方こそ励まされたわけです。
そして、Mちゃんへのレスにはこんなことを書きました。
へええ、Mちゃんって、番組中にイラストを描いてた子?
小説も(そんなおおげさなもんじゃないと照れながら)書いてるって言ってた、おばちゃんの目にはすごく美人!って映った子?
まあ、それはご訪問ありがとう。
小説を書いてみたいと思う人間の中で絵が描ける人は今は漫画家を志望するって聞いたことがあります。
吉本ばななももし絵が描けたら漫画家になっていただろうと。
絵が描けないから吉本ばななは仕方なく小説を書いているらしい。
ほんまかどうかわからないけど、漫画の世界は今それほど才能のある人が集う場所だという意味だと思います。
絵心と文才と美貌と、ひょっとしたらMちゃんの手の中にはこの3つが握られているのかもしれない。少なくとも可能性はあるんだ。
18歳で、何物も手に中にあるとは思えない空虚感で彷徨ってる子も多いと思う。
18歳で何物も手の中にないことの空虚感が自分を育てるということもある。
18歳では何も決められない。
でも可能性は無限に近くあると信じられる貴重な瞬間であることはまちがいないんでしょう。
Mちゃんにとってもこの春は特別な季節なのでしょうね。
旅立ちに心からエールを送ります。
(あなた、本当に美人だと思った。高校生でメイクしてそこそこかわいいという子はゴマンといるかもしれないけど、すっぴんで美人と思わせられる子は稀。これ率直なおばちゃんの感想。ま、美貌がどれほどの価値があるかどうかは、あなたの生き方の中で決まることだと思いますけどね。とにかく幸多い人生でありますように!)
テレビを見て、深く心揺すぶられ、それをネットの片隅でちょこっと語ったらこんな交流が生まれました。
ネットも捨てたもんじゃねーと思いました。
定時制3年4組 ~生徒急増 いま何が~
■ 本放送:総合テレビ | 3月13日 | (木) | 午後11:00 ~ | |
■ 再放送:総合テレビ | 3月19日 | (水) | 午前 3:05 ~ (火曜深夜) |
神奈川県立横浜翠嵐(よこはますいらん)高校。定員割れもあった定時制で異変が起きている。元々の定員は35人×2クラスの70人だったが、ここ数年入学希望者が急増し定員を2倍の140人に増やしたのだ。教室には、いまの時代状況を背負った若者たちが通ってくる。「親の収入が歩合制で不安定。私学に行く余裕がない」「父が仕事を辞め学費が出ない。バイト代から2万円ずつ家に入れている」。卒業を前にした数か月、生徒たちは進学か就職かそれぞれの選択を迫られる。自分で貯めた学費で大学進学をめざす生徒。専門学校への夢を抱きつつフリーターになるかも知れないと漏らす生徒。第一希望の会社を不合格となり思い悩む生徒。定時制入学者急増の背景にはどんな現実があるのか。卒業までの教室にカメラを据え、様々な事情を抱えながら懸命に道を切り開こうとする若者たちの生の声と姿を伝える。
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「にっぽんの現場」は見逃すことも多いのだけれど、見るといつも深く心が揺すぶられる。
夕べの放送では、定時制高校のあるクラスの風景を追っていた。
定時制高校の入学者が増えているらしい。
新聞のラテ欄の短い情報だけを読んで、ダンナと「なんでやろね」と話していた。
私は、「不登校の子どもたちが行くのかなぁ。」と思った。
さまざまな事情で学校へ行けなるなる子どもたちは多い。その子どもたちは、別の場所での就学を試みる。例えば単位制の高校だったり。
私の友人にも子どもが不登校になった人が複数いるけれど、それぞれにその子どもが行けるであろう学校を探してなんとか高校卒業の資格取得を目指す。
そういう役目の一端を定時制高校がになっているのか、とまず私は思ったわけです。
なぜならフリースクールなどは、費用が結構かかったりする。
経済的事情でそういうところに行けない子どもたちの行き場所に定時制高校がなっているのではないだろうかというのが私の予想でした。
事情は少し違っていた。
公立高校の入試に落ちて、以前ならば滑り止めに私立を受けていたであろう子どもたちの、私立へ行く経済的余裕がない家庭の子どもたちが今定時制高校へ入学するという傾向が強まっているのだという。
格差社会の、ますますその格差が広がりつつあるという現実がそこに現れているのだろう。
定時制高校で学ぶ生徒の多くが、父親の失業や家庭の収入の激減に直面し図らずも定時制高校で学ぶことになったという事情を抱えていた。
昼間はアルバイトをし、学費はもちろん生活費も家に入れているという多くの高校生たちがそこにいた。
考えさせられることがいっぱいあった。
例えば、自分の努力ではどうにもならない環境があり、その中で、彼らなりに抱いている夢があり、その夢の実現に向けて努力をするということについて。
少し前に、山田太一さんが「あきらめることも必要」という発言をされたことについて、2ちゃんねるなどではその発言が物議をかもしたそうだ。
教師を目指している一人の女の子は、親には大学の学費を出せる経済力がないという環境の中で、アルバイトと勉学に努力を尽くす。
無理がたたって椎間板ヘルニアを発症したりもする。でもあきらめない。
アルバイトで貯めたお金は100万円に近づき、大学合格も掴む。
イラストレーターを目指している女の子がいる(この子美人だったなぁ)。
本当は専門学校に行きたい。でも無理とあきらめている。
親にそういう経済力がないことを当たり前のように受け入れ、そしてあきらめている。
目を吊り上げて努力しようという姿勢はなく「バイトしながら絵は描き続けます」と答えていた。
どこに正解があるわけではない。
たくさんのあきらめの中から掬い取るようにしてあきらめない気持ちが掴めるということもあるのではないだろうか。
ただ、親の経済力という、高校生にとってはどうにもならない現実の前で自暴自棄になっていく子どもがいるとしたらそれは哀しい。
経済的な格差が広がって良いことなど誰にとってもないと思うのだけれど。
という日記をmixiに書いていたら、翠嵐高校の生徒会長君のコメントをいただいた。
続いてMちゃんという女の子からも。
Mちゃんはこの放送の中で中心的に語られていたイラストレーター志望の女の子で、日記中に私が「美人!」と書いている子。
「イラストレーターって言うより本当は漫画家志望です」って。
二人とも、番組を見てくれて、暖かい励ましありがとうございます、というコメントをわざわざくれたわけです。
Mちゃんは、私の日記にうれしくって泣きそうになったとまで書いてました。
私なんざ通りすがりのおばちゃんに過ぎないけど、おばちゃんの方こそ励まされたわけです。
そして、Mちゃんへのレスにはこんなことを書きました。
へええ、Mちゃんって、番組中にイラストを描いてた子?
小説も(そんなおおげさなもんじゃないと照れながら)書いてるって言ってた、おばちゃんの目にはすごく美人!って映った子?
まあ、それはご訪問ありがとう。
小説を書いてみたいと思う人間の中で絵が描ける人は今は漫画家を志望するって聞いたことがあります。
吉本ばななももし絵が描けたら漫画家になっていただろうと。
絵が描けないから吉本ばななは仕方なく小説を書いているらしい。
ほんまかどうかわからないけど、漫画の世界は今それほど才能のある人が集う場所だという意味だと思います。
絵心と文才と美貌と、ひょっとしたらMちゃんの手の中にはこの3つが握られているのかもしれない。少なくとも可能性はあるんだ。
18歳で、何物も手に中にあるとは思えない空虚感で彷徨ってる子も多いと思う。
18歳で何物も手の中にないことの空虚感が自分を育てるということもある。
18歳では何も決められない。
でも可能性は無限に近くあると信じられる貴重な瞬間であることはまちがいないんでしょう。
Mちゃんにとってもこの春は特別な季節なのでしょうね。
旅立ちに心からエールを送ります。
(あなた、本当に美人だと思った。高校生でメイクしてそこそこかわいいという子はゴマンといるかもしれないけど、すっぴんで美人と思わせられる子は稀。これ率直なおばちゃんの感想。ま、美貌がどれほどの価値があるかどうかは、あなたの生き方の中で決まることだと思いますけどね。とにかく幸多い人生でありますように!)
テレビを見て、深く心揺すぶられ、それをネットの片隅でちょこっと語ったらこんな交流が生まれました。
ネットも捨てたもんじゃねーと思いました。
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