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週末外出中に、定期購読している「考える人」という雑誌が届いていた。
山田さんの上質のエッセイが連載されているのに田舎の書店では滅多にお目にかかれない種類の雑誌なので定期購読することにしたのだ。

で、今回のエッセイのタイトルが「アメリカの夜」。

トリュフォーのこの映画を人に薦められたのをきっかけに、ご自分でも見直されて、その周辺のお気持ちを書かれている。
そのエッセイの内容はちょっと横へ置かせていただきます。(ごめんなすって)

「アメリカの夜」を私は見ていない。
試写会のチケットは手にしたことがある。
ある人に、「いっしょに見に行きましょう」と誘いの手紙とともにもらったことがあるのだ。

長形4号の白い封筒、内側に濃い紫色の用紙が重ねて製袋されている、皆さんもよくご存知の、オーソドックスな、今となってはなんとなく郷愁をそそられるあの白い封筒。

16歳の私が初恋の片想いの人に決死の覚悟で告白のラブレターを出し、その返信として届いたものでした。封筒の中に「アメリカの夜」の試写会のチケットが入っていたのだ。

手紙が届いてから約束の日まで2週間くらいあったのかな。
どこに行くにもその手紙を持ち歩いていた。鞄の底にしのばせて、外出先の、ほんの短い一人になる時間に取り出して何度も何度も読み返した。
字が、まず字がすごく素敵だった。
その人の字を見たのは初めてだったんだけど、めまいがするほどその字が素敵だった。それ以外になんと説明したらいいんだろう。素敵な字。
映画がとても好きであること、今までにどんな映画が印象に残っているかなどが、その素敵な字で結構な量書いてあった(「アラバマ物語」「ベン・ハー」「ラストタンゴ・イン・パリ」なんてタイトルが手紙の中にあったことを思い出す。もっとたくさんの映画のタイトルが列挙してあったけれど思い出すのはそれだけ。)

それと、大学受験に失敗して浪人が決定しちゃったこと、だから当分は恋愛とか考えてられるような身分じゃないことが断わってあって(つまりもうその時点で振られちゃってるわけなんだけど)でも、このチケットは2枚あるから「映画いっしょに見に行きましょう」って書いてあったのだ。
チケットは、皺にならないように本の間に挟んでおいた。その本のタイトルを思い出そうとするんだけれど思い出せない。(残念。)

高校1年生から2年になる春休みのことです。
約束の日は雨が降ってました。
冷たい雨だった。
阪急の西京極のホームで待ち合わせていたんだけどベンチで腰掛けていると私の吐く息が白かった。寒かったんだけど私はボタンダウンのシャツにニットのベストしか着てなかった。多分2週間の間考えに考えて「これを着ていこう」と決心していて、その朝ことのほか気温が低いのに臨機応変に対処できなかったと思われる。
その人は薄いカーディガンを羽織っていた。
シャツはどんなだったか覚えていないけれど、下半身はスリムのぼろぼろのジーパンだった。
実はこの人のぼろぼろのスリムのジーパンに恋をしたといっても過言ではないのだった。
西京極の駅から阪急に乗ってたった一駅の桂で下りて、高校まで15分くらいの距離があった。その道を私はひたすらその人の下半身を見つめて歩いていたのだ。16歳の秋から冬、冬から早春にかけて。

阪急に乗って烏丸で下り、試写会の時刻までまだ時間があったので地下街の喫茶店に入った。
なんだか冷え冷えとした店の片隅でコーヒーをはさんで座って、何を話したのか全然覚えていないんだけれど、なんでか延々話し続け、試写会の時間が過ぎてしまってもなぜかしゃべっていたのだ。(だけど会話が弾んだという記憶もない。自分に思いを寄せる小さな女の子の気持ちに報いて上げられないのがかわいそうでその人は席を立てなかったのかなぁ?)
試写会がすっかり終わってしまうほどの時間までしゃべっていた。
お昼近くになって、「バイトがあるから」とその人とは烏丸の駅で別れた。
私の手元に「アメリカの夜」のチケットが残っていた。初恋の失恋の形見。

でも、そんな感傷にひたる間もなくトイレに駆け込んだ。冷えて冷えて、おしっこ行きたくてもう漏れそうで・・・

見ることができなかったアメリカの夜はその後も見る機会はなかった。

山田さんのエッセイの中に「1973年の作」という文字を見つけて、はいはいその通りです。
あれは、1973年早春、タバスコ16歳の出来事でございましたとも。


ってことは1973年3月と11月、この年タバスコは1年に二度失恋してるんだ。
なんてこったい(11月の失恋については割愛)。


しかし、52歳の今となって思うのは、失恋はしとくもんですね。
たくさんたくさんしとくもんです。

10代の失恋の思い出が(その思い出から得たものが)、タバスコのその後の生きる支柱になってるような気がしないでもない。そういうところ無きにしも非ず。


「アメリカの夜」見てみようかな、なんて思ってしまいました。

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プロフィール
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タバスコ
年齢:
61
性別:
女性
誕生日:
1956/05/26
職業:
兼業主婦
趣味:
広範
自己紹介:
おもろいおばはん
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